2016年1月21日 更新

ガス自由化でガス代は安くなる?-ドイツのケースから考える-

電力自由化の1年後に始めるガス自由化について知っていますか?ここでは既にガス自由化が定着しているドイツのケースを元に、ガスが自由化されるとどのような変化があるかについて考えてみましょう。

そもそも「ガス自由化」とは?

リダイレクトの警告 (27751)

「ガス自由化」は、正式には「都市ガス小売りの全面自由化」です。簡単に説明すると次のとおりです。
都市ガス小売の全面自由化とは

一般ガス事業者による小売の地域独占を撤廃し、幅広いガスの小売事業参入を可能とすることを、都市ガス小売の全面自由化と言います。電力の自由化と同様に、消費者は様々な企業から都市ガス購入を検討できるようになります。
現在都市ガスの供給は全国の地域ガス事業者が独占的に供給を行っていますが、2017年のガス自由化で新規に参入する予定の企業が名乗りを挙げています。
「都市ガス小売りの全面自由化」は、 16年4月の電力自由化の1年後です。

「ガス」の方が1年遅れます。

16年は、電力大手が次のように頑張ります。

17年からガス事業で挽回する方針です。

電力・ガス会社間の競争が激しくなることが予想されます。

家庭向け都市ガスの市場規模は、約2兆4000億円です。

現在は、東京ガスや大阪ガスなど全国200社超の地域事業者が独占している状況です。

ガス自由化をきっかけに、東京電力や関西電力など電力大手は電気とガスなどを組み合わせた販売に乗り出します。

液化石油ガス(LPG)の販売業者や石油元売りも参入を予定します。

経産省は、16年度内に新規参入者に貸し出すガス管の料金水準を決める予定です。
ガス自由化に向けて、早くも電力会社、石油、LPGなどの他エネルギー供給会社も参入を予定しているため、それらの会社間の価格競争は既に始まっていると言っても過言ではありません。
多くの異なる業者がガス事業に参入を表明していますが、実際にはどのような状況になっているでしょうか。
自由化の主戦場は「電気」VS「ガス」

 しかし、セット販売で「大きなウエートを占める」(大手電力関係者)のは、なんといっても電気とガスのセット販売だ。なぜなら、電気とガスはほぼ全ての家庭で使われ、暮らしに欠かせないサービスだからだ。電力とガス会社は検針や料金徴収などでノウハウを持っており、自由化の主戦場は「電力とガス会社」とみる関係者は多い。
ガス自由化においては電力会社とガス会社が他業種よりもノウハウなどの面で一歩リードしているというのが現状のようです。

消費者への認知率が低い「ガス自由化」

はてなマーク / クエスチョンマーク | CCライブラリー 【フリー素材集】 (27748)

経済産業省の主導の元、供給側では既に慌ただしい動きを見せているガス自由化ですが、需要側の消費者はどの程度ガス自由化について認識しているのでしょうか。
自由化の認知:電力については7割、ガスは3割が自由化されることを認知

 電力、ガスの両方の自由化について知っている人は27.6%、電力についてのみの認知は44.7%、ガスについてのみの認知は0.5%であった。各々足し合わせると、電力で72.3%、ガスで28.1%の認知となる。電力自由化など、数ヵ月後に施行が控えているこの時期において、認知率が7割というのは決して高いとはいえない。生活費の中で決して低い支出費目ではないにもかかわらず、関心度は低いと推察される。特に、30~40代女性という生活費に敏感な層で電力自由化の認知率が低くなっているように(30代女性56.1%、40代女性59.7%)、現状では自分ごととして捉えている度合いは小さいと推察される。
電力・ガスの小売自由化に関する消費者調査|国内調査|市場調査・インターネットリサーチの【楽天リサーチ】 (27732)

電力自由化の消費者認知率が過半数を大きく上回る7割に対し、ガス自由化では3割にとどまっています。この結果を見る限りではガス自由化はあまり知られていないようです。

ガス自由化により料金はどう変化するか? -ドイツのケース-

日本ではこれからようやく始まるガス自由化。なにをどう判断すればわからないという消費者も多いことでしょう。そこで、エネルギー自由化を既に始めている欧米諸国より、ドイツのケースを挙げてみます。日本より20年近く前に電気・ガスが自由化されたドイツでは、今日までの間に供給価格はどう変動したのでしょうか。
リダイレクトの警告 (27745)

ドイツでは1998年に
電力とガスが同時に自由化された。

この自由化によって小売分野を中心に
100社超の新規事業者が参入した。
その後数年間は電力単価競争が激しくなり、
自由化後の電力単価は
自由化前の70%程度になった。

従来の電力会社8社の統廃合が進み、
更に新規参入事業者も淘汰が進んだ。

統廃合後の大手電力会社4社が寡占化して、
その4社で約70%のシェアを占めるようになった。
1998年以降安くなった電力単価だったが、
大手電力会社の寡占化が進むにつれて
逆に電力単価が上がっていった。

2001年頃に底を打った単価が
2005年には自由化前の単価に戻り、
2011年には自由化前の1.5倍程度になった。
初めは既存と新規の事業者による価格競争によって大きく値下がりしたガス料金ですが、その競争により力のない事業者が淘汰されていった結果、ドイツでは自由化前よりもガス料金が上がる結果に。
ドイツの消費者は最終的には何を基準としてガス供給会社を選んだのでしょうか。
電気・ガスの同時自由化で多くの消費者の支持を集めた大手エネルギー供給会社・シュタットベルゲの例を挙げてみましょう。

ドイツの消費者は「地元密着型」企業を選んだ

ドイツ電気協会が2004年6月に発表した電話調査では、家庭需要家の96%が地元電気事業者を信頼していることが明らかとなり、ドイツの家庭は、自由化後も従来の電力事業者を使い続ける意向があることを裏付けている。同じく1990年代に全面自由化に踏み切ったイギリスで変更率が50%に至ったのに比べて対照的である。
ドイツでは電気自由化・ガス自由化共に「地元密着型」の企業が支持される結果となりました。
ドイツにおいて「地元密着型」の供給会社が消費者の支持を集めた理由はなんだったのでしょうか。
ドイツには近年、「Rekommunalisierung(再公営化)」という機運がある。配電事業については、元々は地域のシュタットベルケが営んでいたが、1990 年代以降に民間移転が進んだ。それが近年、市民の住民投票によって、シュタットベルケが事業権を奪還する事例が各地で見受けられる。こうした市民からの支持の理由は、筆者が行った関係者へのヒアリングに拠れば、シュタットベルケが地域に対して、地域資源の活用や地域雇用の創出という点で貢献しているためだという。
日本人と国民性が似ていると言われるドイツ人のこのような選択に、日本におけるガス供給業者選択のヒントが隠されているかもしれません。

まとめ

ガス自由化とはなにか?他国(ドイツ)では自由化に伴い、どのような流れとなっているかについてのまとめは次のとおりです。

◎「ガス自由化」とは「都市ガス小売り自由化」の事である。
◎ガス・電気・石油・LPGなどの業者が参入する予定である。
◎現時点ではガス・電力会社が他業種を一歩リードしている。
◎ドイツではガスの自由化により自由化前よりガス料金が上がっている。
◎ドイツの消費者が業者を選ぶポイントは「地元密着型であるかどうか」。

ガスの自由化ではガス料金が下がることばかりに注目されがちですが、熾烈な競争の結果、逆に料金が上がる場合も十分にあり得る訳です。ですから、業者を選ぶときは料金にばかり目を向けず、セットなどのサービスの充実や何かあった時の対応などにも着目する必要がありそうです。
25 件

関連する記事 こんな記事も人気です♪

全国各地の動向からガス自由化を読む

全国各地の動向からガス自由化を読む

電力自由化の1年後に始まる都市ガス自由化(以下・ガス自由化)ですが、電力自由化と比べてまだまだ周知度が低いようです。けれども全国各地では既にガス自由化に向けて様々な取り組みがなされています。
shizuokanohaha | 4,850 view
《ガス小売自由化の前に》ガス事業の現状。

《ガス小売自由化の前に》ガス事業の現状。

今のガス市場は各地域ごとのガス会社が大きなシェアを独占している状態です。震災後に建てたおうちはオール電化ではなく、ガスを使用したものも多くなっていてガス市場はわずかに拡大しています。ガスの小売り自由化の前にガス市場の現状を知っておきべきです。
sawaco | 1,320 view
2017年4月スタート!ガス事業の現状と自由化のメリット・デメリット。

2017年4月スタート!ガス事業の現状と自由化のメリット・デメリット。

電力とガスの自由化がもうすぐ始まります。携帯会社が電力事業に参入を宣言したり、話題になっていますね。 電力会社を選べるといってもいまいち具体的にどうなるのか、いったいどれくらい安くなるのかイメージ することって難しいですよね。ガス市場の現状と自由化のメリット・デメリット。
sawaco | 1,506 view
ガス全面自由化!自由化までのスケジュールとエネルギー業界の動きを見てみよう

ガス全面自由化!自由化までのスケジュールとエネルギー業界の動きを見てみよう

先日ガス自由化に向けての法改正案が提出の運びとなり、いよいよ各方面で具体的な動きが出てきました。 ここではガス自由化を行われる理由と自由化までのスケジュール、そして現時点での関連業界の動きについて見ていきたいと思います。
shizuokanohaha | 1,022 view
京葉ガスの電気料金プランと、そのメリットに迫ります♪

京葉ガスの電気料金プランと、そのメリットに迫ります♪

皆様は、京葉ガス株式会社をご存知でしょうか。ここは様々な事業に挑戦していて、魅力的な会社です。そこで今回はその全貌と、どういった人に向いているかを中心に述べていきたいと思います。是非参考にして、気に入ったら選んでほしいです。
110 | 390 view

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

shizuokanohaha shizuokanohaha

おすすめの記事

今注目の記事