2016年2月26日 更新

ガス自由化って「エコ」なの?

2016年4月に始まる電力小売り自由化のニュースやCMを目にすることが多くなりました。1年後の2017年4月の都市ガスの小売自由化が始まります。一般家庭にとっては電気とガスは2大エネルギーで家計に与える影響も大きいです。 一方、東日本大震災と福島の原発事故で私たちのエネルギーに頼った生活が盤石ではないこと、エネルギーの元をたどると環境問題に行き着くことが明らかになりました。 ガス自由化と「エコ」について考えます。

都市ガスの小売自由化が電力自由化の1年後の2017年4月のタイミングから始まります。
LPガス(プロパン)はすでに自由化されていましたが、電力自由化と合わせて競争は激化するのでしょうか?

都市ガスの小売自由化って何ですか?

私たちの生活に欠かせないガス

私たちの生活に欠かせないガス

電気や石油製品と並んで私たちの生活に欠かせないエネルギーのガス。
一般家庭で使われているガスは、主に「都市ガス」と「プロパンガス」の2種類。都市ガスはガス導管を通じて供給され、プロパンガスは各家庭にガスボンベで個別に供給されています。このことを考えると、今までもプロパンガス契約に限っては消費者が自由にガス販売店を選ぶことも可能でした。(ただし実際は、賃貸物件などでガス販売店を指定されるケースが少なくありません)。
 ですが都市ガスの場合は少し事情が違い、1994年以前までは地域の「一般ガス事業者」が独占的に販売を行っていました。東京ガスや大阪ガスといったこれらの会社は、一般電気事業者と同じくエリア内での供給義務を負う代わり、地域独占を許されていたのです。
1994年以前の都市ガス販売は、一般家庭だけでなく企業も自由にガス会社を選ぶことができずに、地域ガス会社の独占状態でした。
都市ガス市場は1995年から段階的に規制緩和が進んでおり、現時点では法人向けなど全体の約60%は自由化されている状況になっています。

しかし、一般家庭向けの契約は地方都市ガス会社が地域独占販売を行っていて、競争が無く、問題視されていました。

政府はそうした状況を改革するために、2013年から総合資源エネルギー調査会を中心として自由化の検討を開始しており、その結論を踏まえた上で2017年4月から都市ガスの小売り全面自由化、2022年4月から都市ガス大手3社の東京・大阪・東邦ガスのガス部門の分離を柱とする改革を行う予定になっています。

この自由化される市場は都市ガスにおいては2.4兆円になると試算されています。
一般家庭にとって地方都市ガス会社かプロパンガスだけでなく他の選択肢が広がりそうです。
ガスの販売自由化は大口から始まった。

ガスの販売自由化は大口から始まった。

家庭向けのガス販売は約200あるガス会社で地域独占されていました。

ガス自由化のメリット デメリット 日本のガス料金は桁違い?

今まで独占されてきた市場に新規企業が参入してきた場合、当然競争が生まれます。その結果価格が下がるということが市場の原理により予想されます。競争は価格に限らず、サービスの質にも影響を及ぼしカスタマーサービスの向上につながることも期待されます。電力とのセットプランやポイントがつくサービスなどメニューのバラエティが増えることも十分あり得るでしょう。もっと分かりやすい料金形態の契約プランが出てくるかもしれません。
新規参入企業により競争が一段と激しくなることで、市場原理により価格が下がることやサービスが豊富になることが期待されます。
デメリットはガス漏れなどは重大な事故につながりますが、そういった保安責任をどこがおうのかという安全性です。

電力・ガス小売全面自由化後の状況と対応策

電力・ガス小売全面自由化後の状況と対応策
 ~都市ガス・LPガス事業者へのアンケート調査~石油ガス・ジャーナル
「世界一安全なガス」を守ってきた日本のガス事業者にとって、都市ガスの小売自由化での最大の関心事は保安の確保です。
消費者が価格面だけでなく安全なガスを安定供給するガス事業者を選ぶかがカギになります。
ガス料金

ガス料金

都市ガスの小売自由化で米国の4倍以上に達する日本の家庭向けガス料金を抑制することはできるのか?
ガス代はぶっちぎりで高いことが衝撃的でした。

ガス代はぶっちぎりで高いことが衝撃的でした。

ガス事業者にとっては保安の確保が最大の焦点でしょうが、ガス代が国際的に比較にならないくらい高いことを認識したら、消費者も都市ガスの小売自由化の機会に、雪崩を打って安い事業者に変更する可能性もあります。

電力自由化と都市ガスの小売自由化て関係あるの?

Vol.1 セット販売は先手必勝、価格以外の提案力が鍵

電力の全面自由化まであと1年を切った。その先にはガスの全面自由化も控える。ガス会社にとって電力小売りへの参入は攻守両面から避けては通れない道となるだろう。電気の調達先や新たなパートナー探しなど課題はいくつもあろうが、まずは将来のありたい姿を描き、中期戦略を立てることが先決だ。戦略策定のポイントからビジネスモデルの作り方、アライアンスの考え方など電力・ガス自由化への備えを6回に分けて説明する。
                ◆
 自社のエリアにガスの新規参入がないケースはどうだろうか。ガスの顧客を直接奪われる心配はないが、電力の販売競争が本格化すれば家庭で電化が進みやすくなる。そうなればしわ寄せでガスの需要は減少する。

 自由化後のガス会社は、ガスだけでなく家庭のエネルギー需要全体に目を配り、1件当たりの売り上げを確保する視点が大切になる。攻めるにせよ、守るにせよガス会社にとって電力は必要不可欠のツールになるはずだ。
ガス会社は、電力事業に参入することやガス以外のサービスを持つガス会社と連合するなど戦略的な判断が求められます。
都市ガスの小売全面自由化に伴う事業区分の変更。出典:資...

都市ガスの小売全面自由化に伴う事業区分の変更。出典:資源エネルギー庁

事業類型も変わってきます。
自由化の主戦場は「電気」VS「ガス」

東京ガスなど大手ガス会社は28年に電力が自由化されれば、ガスと電気のセット販売に乗り出す構えだ。電力事業を拡大できるばかりでなく、電気とガスのセット販売は顧客の囲い込みにつながる。これに対し、大手電力はガスが自由化される29年までは、電気とガスのセット販売ができないという大きなハンディを背負うことになる。
電力自由化では、すでに携帯電話大手のソフトバンクは自社で作った電気と携帯電話のセット割引やJX日鉱日石エネルギーといった石油元売りは、「ENEOSでんき」などで電気とガソリンを一緒に販売することなど新規参入が始まっています。
電気・ガスのセット割引がガス業界よりも1年遅れることに...

電気・ガスのセット割引がガス業界よりも1年遅れることに、電力業界は危機感を強めている。

電力自由化と都市ガスの小売自由化では、電力会社やガス会社だけでなく新しい他業種の事業者を巻き込んだ競争になりそうです。
インフラを握ってる既存の事業者が有利なため、新規参入企業は他の事業者との連合が競争を左右します。
東京ガスは電化対策の研究会「Gライン」を立ち上げ、広くプロパンガス事業者の参加を呼びかけており、またプロパンガス業界の業界横断のフォーラム「タスクフォース21」では、会員資格を「LPガス事業者」から「ガス体エネルギー事業者」と変更し、「都市ガス」と「プロパンガス」の垣根を取り払おうとしている。

 「Gライン」の命名者で、「タスクフォース21」を主宰する牧野修三氏によると

『ガス側で「オール電化反対」と言っても、「それはあなたたちの業界の勝手でしょう」とお客様の支持は受けられない。都市ガス、LPガスの電気に対する環境面での優位性は、あまり知られていない。それを知らせつつ、オール電化対抗ではなく、環境に優しいエネルギーの提案事業、あるいはCO2排出量削減の提案競争へと移行させていくべきだ。エネルギー事業者としてお客様に訴求すべきポイントは「環境・省エネ・省マネー」。』
都市ガスの小売自由化と電力自由化で、「都市ガス」と「プロパンガス」と「電気事業者」が三つどもえの争いになるのか?価格面の過当競争ではなく、新たなエネルギーの付加価値を消費者に提案できるのが問われています。

エネルギーは環境問題。エネルギーミックス・ベストな電源構成は誰が選ぶ?

エネルギーは環境問題も関わるテーマで、その消費者インサイトは複雑なのではないでしょうか。

橋本 ▶環境エネルギーに対する消費者インサイトは独特なものがあります。

当社で独自調査を行ったところ、東日本大震災以降、特にエネルギー問題に対する関心は高まり、環境によい商品を選ぶべきだという意識も高まっている。一方でそれを理解しつつも、それを実行するためには自分の行動が制限されたり、通常より高いコストを支払う必要が生まれてしまう。消費者は、この両者で揺れ動いており、私たちはこのインサイトを「エコストレス」と呼んでいます。
東日本大震災が起こり原発事故・計画停電などで被災地域以外の国民にとってもエネルギー問題は切実です。
都市ガスの小売自由化で選択できるガス会社が増えるとしたら、過当競争による安全性を無視した安かろう悪かろうな選択ではなく、安心できるエネルギーを選ぶ消費者が増えることが期待されます。
石炭火力発電にくらべCO2の排出が少ないことから、天然ガス発電が増えることは低炭素社会をつくるうえで有効な手段であると考えられてきた。

ところが、アメリカで行われた調査の結果、天然ガスを積極的に活用することが、石炭の利用を減らすだけでなく、再生可能エネルギーの技術開発も遅らせることもわかったきたのだ。
地球温暖化防止には、石炭火力発電から天然ガス発電への転換とともに再生可能エネルギーの技術開発も並行して必要です。
2030年度の日本のエネルギーミックス(電源構成比率)...

2030年度の日本のエネルギーミックス(電源構成比率)=2015年4月28日現在、※太陽光・風力・バイオマス・水力・地熱を含む

発電用・家庭用も含めて日本のエネルギーミックス(電源構成比率)の中でガスの占める割合は当分の間、大きいです。
以上、都市ガスの小売自由化について見てきましたが、

・新規参入企業によって競争が進むと価格の変動やサービスの多様化が起こること。
・安定した安全な供給体制を確保できるかが問題になること。
・電力自由化とリンクしていること。
・ガスと電気も含めたエネルギーミックスの重要性が高まり、環境問題につながっていくこと。

ということがわかりました。

私たちの生活に欠かせないエネルギーであるガス。
私たちがエコでクリーンなエネルギーを選ぶことで地球環境問題の解決にもつながります。

都市ガスの小売自由化をチャンスに、エコなライフスタイルを実践できる時代がやってきます。
22 件

関連する記事 こんな記事も人気です♪

「ガス自由化」・法改正の背景と狙いとは?

「ガス自由化」・法改正の背景と狙いとは?

電力自由化に続いてガスの自由化も決定しました。その背景や自由化における行政の狙いとは?また、自由化後、エネルギー供給はどのように変わっていく可能性があるでしょうか。
shizuokanohaha | 1,108 view
全国各地の動向からガス自由化を読む

全国各地の動向からガス自由化を読む

電力自由化の1年後に始まる都市ガス自由化(以下・ガス自由化)ですが、電力自由化と比べてまだまだ周知度が低いようです。けれども全国各地では既にガス自由化に向けて様々な取り組みがなされています。
shizuokanohaha | 4,298 view
 電力自由化の節電あれこれ!

 電力自由化の節電あれこれ!

電力自由化に向けて、節電やメリットデメリットについて紹介していきます!!
スナフキン | 830 view
「エネルギーのベストミックス」とは何だろう?

「エネルギーのベストミックス」とは何だろう?

日本が使う電力をどのように賄っていくのか議論がなされています。その中で出てくる「エネルギーのベストミックス」とはどういう意味なのでしょうか。「ベストミックス」のバランスアップに電力自由化も貢献しています。
loveandjoy117 | 1,628 view
ガス自由化とは?メリットを知り尽くしたい

ガス自由化とは?メリットを知り尽くしたい

ガス自由化が2017年に迫っています。 ガスで得したいと考えている方は、まずガス自由化と共に電力自由化について知っておきましょう。 私たち消費者にとってどんなメリットがあるのでしょうか。 ガス自由化のメリットそして注目点を見てみましょう。
yukko | 749 view

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

rainbowzero1124 rainbowzero1124